我が仙台印刷工業団地協同組合は1963年に発足し、今年(2003年)で40周年を迎えました。かつては工場の近代化を中心とした事業に取り組んできましたが、今や印刷業界は情報化の波にさらされ、大きな転換期を迎えています。国の中小企業施策も護送船団方式からやる気のある企業を育てようとする流れへと変化してきています。そういった状況を受け、若手理事を中心とした2010ビジョン委員会が発足し、これからの印刷団地の方向性の検討が始まりました。
 今回の答申は、今後の印刷団地の方向性を示したものですが、具体的な事業の推進については事業ごとの専門委員会を設置して、実施のための研究や具体的な計画を策定いたします。

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1.材料の共同購入2.倉庫事業(共同配送、物流センター)3.共同生産4.共同電力事業5.印刷団地内で仕事を回しあう仕組みの構築6.駐車場事業7.商品化戦略8.印刷団地内情報システムの構築9.まとめ



1.材料の共同購入

 今般の不況に関する印刷物の受注競争による価格の下落は益々拍車がかかり、今後も続くものと思われます。厳しい価格競争のなかで利益を確保していくためには、資材関連の仕入れを見直すことが重要でありますが、一社単独では交渉も思うように進まないのが現状です。そこで、共同で仕入れを行い印刷団地全体でスケールメリットを出すことによって、かなり現状より安い金額で資材購入が可能になると考えられます。


2.倉庫事業(共同配送、物流センター)

 印刷団地の倉庫事業に関しては、現在も団地の事業として行っていますが、倉庫としての利用状況は過去10年を振り返ってみても殆ど需要は横ばいで、今後も変化はあまり期待できないものと思われます。
  現在の倉庫の老朽化に伴い、建て直しが必要な時期に倉庫と配送を兼ね備えた共同配送センターを作るということについて検討してきました。資材の受け入れ、出荷そして完成品の倉庫として使用しようというものですが、運用上の問題も多々あること、他の工業団地において実際に事業として行っているところもありますが、採算が取れない旨の話もあります。従って今回新事業として捉えることは見合わせ、今後倉庫を建て直す必要が生じる頃に、その時期の状況を鑑み、改めて検討することとしました。


3.共同生産

 印刷会社は、今まで印刷設備の投資に力を注いできましたが、今後の過当競争の時代を考えれば、よりコストを削るために生産設備を統合して、投資効率を高めていく必要があると考えられます。つまり、各社がそれぞれ持ち合っていた設備や人などの機能を統合しながら、無駄 な部分を省いて行こうとするものです。設備も人も各社が重複して持ち合っている時代はもう終焉を迎え、今後は印刷団地という協同組合のかたちを次の時代に向けて、どう効率的なかたちに変えて行けるかという発想が必要となってきています。


4.共同電力事業

 2000年3月、通産省資源エネルギー庁公益事業部の電気事業新制度において、電力の小売部門自由化により大口の需要家に対して、電力会社以外の者による小売・供給が可能になりました。つまり、仙台でも東京電力から他地域の電力を買うことも可能になったということです。現状ではまだ様々な規制がありますが、今後の規制緩和に伴い、電話料金のように自由化による価格の下落が現実味を帯びてきています。
  印刷団地では、これまで共同で電力事業を推進してきたことはありませんでしたが、自由化の流れを見極めながら、様々な可能性を探る必要性があるものと考えます。共同受電だけでなく、太陽光発電やマイクロガスタービンによる共同発電事業なども、近い将来現実のものとなってくることでしょう。コストや安全性、リスクなども考えながら、今後の印刷団地の電力事業を考えて行くべきと思います。


5.印刷団地内で仕事を回しあう仕組みの構築

 以前は印刷団地内では、設備や技術についての情報交換が盛んで、結果 として印刷団地内で仕事のやりとりがなされていました。しかし、時代とともに交流も薄れ、折角団地内で処理できる仕事も団地の外に流れてしまっています。そのような状況を変えていくためには、様々な観点から仕組みを再構築する必要性があります。
  一つは、工場責任者・技術者の相互交流であります。まずは工場レベルでオープンな関係を構築することが求められます。そのための交流や懇親の場を設定することが重要となってきます。 次は技術の標準化です。一定以上の技術水準に達していないと、トラブルの元になります。技術向上のための研修や、テーマを決めたプロジェクトなどが有効でしょう。
  もう一つ整備して行かなければならないのは、工場レベルでの外注料金の明確化であります。標準的ないわゆる「団地内料金」の設定も必要になってくるものと考えられます。


6.駐車場事業

 印刷団地の駐車場事業について、今後10数年後に地下鉄東西線が開業し、六丁の目駅ができた場合を想定してみます。団地の駐車場が駅に隣接し、なおかつ産業道路に接した1700坪というまとまった土地であり、立地条件も良いことからも、駐車場の土地活用を含め、事業のあり方を見直す必要が出てくるものと思われます。その場合考えられることは、周辺住民のためのパーク&ライドの駐車場整備や現在の従業員用の駐車場を兼ね備えた商業ビルを建築し、各社の営業部門や管理部門の入居や印刷業界と関わりの深いデザイン、ソフト産業の入居促進を図ることも考えられます。いずれにしても、地下鉄開業をにらんで、組合内部に専門の委員会を設置することが必要と思われます。


7.商品化戦略

 印刷団地内には様々な技術やノウハウがありますが、それらが各社に埋もれている状況では、新らたな商品開発は不可能です。商品化戦略は印刷団地全体で取り組むというのではなく、気心が知れていて、目指す方向性を共有している数社で取り組むというイメージでしょう。そのプロジェクトに自主的に参加する企業が、それぞれの機能、強み、ノウハウを出し合うことによって、独自の商品を開発したり、得意先からの要望に添った企画を出していったりすることが可能となります。この中のメンバーには当然異業種も入ってくるべきでしょう。こういったプロジェクトをより多くの社員に経験させることによって、会社の活性化や人材育成につながってきます。


8.印刷団地内情報システムの構築

 今後さらに踏み込んだかたちの共同体を目指すためには、その中を流れる血管ともいうべき情報網の整備というテーマが浮かび上がってきます。団地内では共通 のシステム構築を行うことによって、問い合わせや受発注、外注物件の進捗状況の把握などが可能になるでしょう。他にも必要な機能を最大限盛り込み、効率よく製造できる環境を構築することが可能となってきます。


9.まとめ

 今回まとめた答申の中には印刷団地創設時に取り上げられたテーマもありましたが、機が熟していないなどの理由で見送られたという経緯がありました。当時は高度経済成長へと向かっていく時代であり、業界のしきたりや仕組みを守るという意識の方が強く、新たな取り組みが非常にしにくかった時代であったわけです。しかし現在は、今までのしがらみにとらわれ、新たな流れに向かっていく気概のない企業は真っ先に淘汰されてしまう時代です。2010ビジョンを柱にして、印刷団地にも是非とも新しい風を吹き込んでいきたいと考えております。
今年度はこのビジョン委員会の答申を受けて、新たに4つの委員会(団地再開発、総合エネルギー、資材共同購入、共同受注)を設置し、調査・研究を進めていくことになりました。テーマによっては長期的なものもありますが、方向が見え次第、情報をお伝えしていきたいと考えております。


2010ビジョン委員会

委員長 江馬 文成(江馬印刷)
委 員 鈴木 心一(スズキ)
  中山 正敏(共同紙工)
  宮川 忠直(宮川ローラー)
  針生 英一(ハリウコミュニケーションズ)